中村敬斗が発信する危機感。「このままでは食われる」。“利他のエース”が促す意識改革

2017年10月17日

サッカーエンタメ最前線

「このままの雰囲気でいったら完全に食われる」

 W杯は選手として世界にアピールする場。野心的で、将来へのモチベーションに溢れている選手だと理解した。というのも、今年の夏に高校卒業を待たずしてプロ入りするのではないか、という報道が出ていたこともあり、少なからず個人的なアピールを意識しているだろうと考えていたからだ。

 しかし、その認識は誤っていたと認めなければならない。彼が意識しているのはあくまでチームの勝利であると、強く感じさせるパフォーマンスをグループステージの3試合で見せていた。

 11日のグループステージ第2戦・フランス戦に敗れて迎えた14日の第3戦・ニューカレドニア戦。中村はチームで唯一3試合連続の先発出場となった。周囲のメンバーは大きく変わり、全く別のチームと言っても過言ではない状況である。

 そんな中で、背番号13は孤軍奮闘した。何度もドリブル突破を仕掛け、果敢にシュートやクロスまで持ち込む。ミスを恐れて消極的になっていたチームを、自らのプレーで鼓舞しようとしているようだった。後半に足をつって交代するまで、チームのために全力で走り続けた。

 日本のチームは非常に雰囲気がいい。全員の仲がよく、「一体感」を武器に挙げる選手も多くいる。しかし、中村はそれが少々「ぬるい」と感じているのかもしれない。ニューカレドニアと1-1で引き分けた後、優勝を目指すと公言しているチームにこう警鐘を鳴らした。

「このまま僕たちのぬるい雰囲気でいったら(イングランドに)完全に食われるので、2戦目のフランス戦…ぬるくはなかったと思うんですけど、ギアを上げないとマズいと思います」

 チーム内のどこかに「このまま続けていればいける」という慢心があったのかもしれない。自分たちの戦い方を信じるあまり、ピッチ内で予想外のことが起きても対応しきれない場面は多々見られた。全員がもう一段階成長しなければ、目標に掲げた「決勝」は目標のまま終わってしまう。中村はその危険をいち早く察知していた。

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