指導者たちに聞く!現代の環境の中で求められる指導法とは/座談会企画<後編>

2018年03月02日

コラム

JSCCHIBAドリブルコラム002

お父さんコーチへのアドバイス

吉村 実際、ジュニアの現場では、プロのコーチではない、お父さんコーチが指導している場合ももちろんあります。プロのコーチの視点からお父さんコーチにアドバイスできることは何かありますか?

菊池 私は自由に指導すれば良いと思います。勉強して理論的に指導できる方もいますが、オールマイティーなコーチにならなくてもいいと思います。お父さんコーチであれば、1つのスキルに優れた子を育てる役割もありなのかな、と。

 少年団のお父さんコーチも月曜日から金曜日まで働いていると思います。仕事で「今月100万円の利益をだせ」と言われたら色々な障害があっても、乗り越えて結果を出すと思います。それと同じように少年サッカーでも結果的に子どもたちをどのように育てていくのか、大人がどのような考えを持って、子どもたちに伝えていけるかが大事です。

屋良 小学校6年間を見るわけじゃないですか。日本の教育システムでは小学生年代が一番長いですよね。だから6年間で成功体験が多ければ多いほどサッカーを続ける可能性はグッと高くなると思うんです。小学校時代に楽しかったことが大きければ、その後、茨の道に進んでも、「サッカーは楽しい!」と体が分かっているので。

 逆に小学生年代で苦しい思いばかりすると、サッカーを二度とプレーしない可能性は高くなります。僕たち指導者にとっては子どもがサッカーを嫌いになってしまうことが一番悲しいことです。

 やはり、プロになるのは一定以上の能力がある子たちです。そうではない子たちもサッカーを好きなまま成長してくれれば日本代表のユニフォーム買ったりしてサッカー界にお金を落としてくれますし、職場でフットサルチームを作ったりすれば、ますますサッカーが盛んになっていく。そういう子どもたちを増やしていかないといけないと思っています。

 だから、町内の子ども会の時に一緒におじさんたちと餅つきや神輿をしたように、指導者は小学生の子どもたちと一緒に動いて、遊んであげることが大切です。技術云々ではなく、子どもたちに、サッカーをする場を与えて、面白いことを体験させてあげて、その中の1イベントとして試合があって、子どもたちの小学年代を楽しいものにしてあげることが指導者としてのひとつの役割だと思います。

渡辺 仕事をしながら子どもたちに関わるお父さんコーチには長い目で見て、今を大切にして選手たちと関わってもらえれば僕は嬉しいですね。

在原 私の子どもが今ちょうど幼稚園生ぐらいなんですが、習い事は全部楽しそうにしています。たくさん運動して、先生も大好きみたいです。だけど親になると少し変わってしまうことがあります。

 例えば、宿題。周りの子ができているので「勉強しなさい」というマインドになる時があります。指導の場にそういった使命感のようなものが発生すると、おかしくなってしまいますよね。勝敗の結果に敏感になりすぎると、だんだんおかしくなってくるので、お父さんコーチは結果にこだわらずに指導をしたほうが良いのではないでしょうか。

 少なくとも下の年代になればなるほど勝敗にこだわらずにやっていくことが一番です。その方がお父さんたちも子どもと仲良くやっていけると思います。

 子どもは好奇心旺盛なので、技術を学ばせたり、体を動かすことだけではなく、知的なところにアプローチしていくと、よりサッカーをプレーしたいな、遊びたいなと思う子が増えていきます。そういう意味では、ぜひフットサルもやってほしいなと思います。

吉村 おっしゃるように、勝敗に敏感になりすぎず、子どもたちが心からサッカーを楽しむための指導を心がけてほしいですね。みなさん、今回はありがとうございました。


【座談会企画<前編>】徹底討論! 少年サッカーにおけるドリブル指導の本質とは


<クラブプロフィール>

ヴィヴァイオ船橋
http://www.vivaio-funabashi.com
千葉県船橋市を拠点にキッズ、ジュニア、ジュニアユースまでが活動。『VIVAIO』とはイタリア語で『苗床』という意味。田植えをする前に苗を育てる場。つまり『育成』という意味を表す。

FCカーニョ
http://footballnavi.jp/grassroots/
カーニョとは、スペイン語で「股抜き」を意味します。キッズ、ジュニア、ジュニアユースが対象。埼玉県越谷市を拠点に活動。

エスコリーニャFC
http://escolinha1995.blog28.fc2.com/
リーベルプントFC
http://riberupunto.com/
神奈川県横浜市・川崎市を中心に活動している。ブラジル、エクアドル、コロンビアでプレーし、シリア代表コーチを歴任した屋良代表が指導するサッカースクール・ジュニアユース。

J-フロンテッジフットボールスクール
http://www.tokyu-sports.com/football/j-frontage.html
日本で唯一のスペインサッカー協会公認フットボールスクール。東京・神奈川を中心にスクールを開校。中学生対象のクラブ「東急SレイエスFC」も活動中。

 

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