反復練習に時間を費やす必要はない。 戦術理解を養う「止める・蹴る」の指導法とは

2018年06月23日

サッカー練習メニュー

イニエスタ、シャビなどスペインには〝止める・蹴る〟の技術が優れた選手が多いです。ロシアで開催されている試合を見てみても、ボールをトラップしてからパスを選択するまでの一連の動作の質は他の国と比較しても群を抜いています。〝止める・蹴る〟に関して、スペインのジュニア年代ではどんな指導をしているのでしょうか。「サッカー 新しい攻撃の教科書」の著書である坪井健太郎氏 (CEエウロパユース第二監督) にその実情を伺いました。

構成●小澤一郎 写真●GettyImages、佐藤博之

『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.49』より一部転載


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2つの傾向に分かれるスペインの指導法

 スペインでは以前にも増して基本技術単体ではなく、プレーの認知、判断とリンクさせた技術のことを「基本技術」と定義するようになっています。単純なボール扱いについて語られることはスペインの指導現場ではほぼなくなりました。そのため、小学低学年から戦術的なトレーニングをかなりの時間行っていますし、技術習得のメニューにおいても戦術的要素が含まれた構造となっています。
 
 だからといってスペインにおいて技術習得の重要度が下がっているわけではなく、より実践的かつチームのプレーモデルが含まれた技術習得のための練習が行われているということです。
 
 スペインの指導者学校における技術の授業や技術練習におけるキーファクターを見ても、「こういう時にはこういうプレーをしよう」、コントロールというテーマを扱う時には「守備のビルドアップにおける相手FWと2対2のシチュエーションで、相手の第一ライン突破する時にはどのようなコントロールをするべきか」といった具体的なシチュエーション、専門用語で言うならばコンテクスト(背景、文脈)が キーファクター内に盛り込まれています。

 これは私がスペインに来てライセンスを取得し始めた時とは大きく進化(変化)してきている部分です。ただし、この傾向はクラブの考え方による ところがありますので、「スペイン全体」という括りにして話すことはできません。
 
 今、スペインでは2つの傾向に分かれています。1つは冒頭から話している通り、コンテクストのある戦術トレーニングにおいて技術習得を求める傾向です。もう1つは、まだほんの一部ですがジュニア年代で日本のようなドリル練習を積極的に実施するクラブが出始めています。そうしたクラブは、週3回で1日の練習時間が90分あるとして、そのうちの1日だけ50分を相手なしのコーンドリブル、ラダーを用いてコーディネーション能力を上げるような反復練習に割いています。
 
 基本技術、コーディネーションスキルを習得するためのドリル練習になぜ多くの時間を割いているかというと、日本と比較した時にスペインでは小学校に日本のような校庭、グランドがなく、あってもコンクリートのハンドボール(バスケット)コートです。当然、体育の授業で様々なスポーツに触れる機会も少なく、スペインでは地域のスポーツクラブに通わない限り日本の子どものような身体を動かす、コーディネートする機会を得ることができません。
 
 4月に一時帰国した際、イベントでご一緒させていただいたラ・リーガ(スペインプロリーグ)1部のレバンテUDの育成ダイレクターも「スペインの子どもたちの運動能力、コーディネート能力は年々落ちているので、小学低学年では意図的にドリル練習に多くの時間を割いている」という話しをしていました。
 
 そういうクラブ、傾向も出始めているのがスペインのジュニア年代指導における変化の1つです。とはいえ、「スペインでもドリル練習をしています」という単純な理解だけで終わってもらっては困ります。ドリル練習に取り組むクラブでも、その後には必ずゲーム形式の実践的メニューを実施して戦術やリアリティあるシチュエーションでの技術を選手に求めていますし、戦術から切り離した技術はスペインでは技術ではなくボール扱い、ボール操作と区別されています。
 
 加えて、日本ではすでにコーディネーションの基礎がスペインと比べると高いでしょうから、私の考えでは日本はこれ以上反復練習に時間を費やす必要はありません。

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