「キャプテン翼の世界でもプレーできる選手だと思い続けてきた」。スペイン人ジャーナリストが“モドリッチ”を書いた理由

2018年10月20日

サッカーエンタメ最前線

10月19日(金)、ルカ・モドリッチ初のバイオグラフィー『ルカ・モドリッチ 永遠に気高き魂』が発売された。この本ではロシア・ワールドカップMVP、2019年FIFA最優秀選手に輝くなど、33歳にしてさらに強いスポットライトが当てられる選手の数奇な人生が描かれている。著者であるスペイン人ジャーナリスト、ビセンテ・アスピタルテ氏とホセ・マヌエル・プエルタス氏は、モドリッチがレアル・マドリーで悪戦苦闘していた頃から同選手の才能と成功を信じて本の制作に取り掛かった。今回は、著者の一人であるアスピタルテ氏に「モドリッチ」を書いた理由をうかがった。

文・写真●江間慎一郎 写真●Getty Images


何度もクロアチアに足を運び、100人近い関係者に取材

――なぜモドリッチの本を手掛けたのでしょうか?

モドリッチがマドリーに加入した当初、スペインメディアの中で彼のことを支持していたのが私たちだけだった。レアル・マドリーに加入した頃のモドリッチは、とても難しい日々を過ごしていた。ジョゼ・モウリーニョの率いるチームに適応できず、多くの批判を受けていたんだ。しかし私たちは記事、テレビ、ラジオで彼を擁護し続けていた。いつかマドリーの柱になれる逸材だ、とね。すると、出版社から彼の本をつくらないかという打診があったんだよ。

――なぜ、モドリッチを擁護し続けたのですか?

彼こそが真のオールラウンドプレーヤーなのだという理解があった。そのプレーはじつにエレガントで、常識を逸している。私は彼が『キャプテン翼』の世界でもプレーできる選手だと思い続けてきた。日本向けのインタビューだからそう言っているわけでは決してない。彼を初めて目にしたときから、アニメーションの中の選手であるという錯覚を覚えたんだ。

――この本を執筆するにあたって、クロアチアの多くの場所を取材したそうですね。

私と共同執筆者のホセ・マヌエル・プエルタスは何度もクロアチアに出向いた。100人近い彼の関係者から話を聞いたよ。ルカの家族、少年時代のコーチとチームメートやその頃からの友人、彼がプロとなった後に指導したコーチ……とね。彼を知るたくさんの人物から話を聞けた。モドリッチの父親スティペも懇切丁寧に色々と話してくれたね。彼の慎ましい人柄は、息子にそのまま受け継がれていると思う。この本はクロアチアでも発売されたんだが、ザグレブ、ザダールで行われた発売イベントにはスティペも参加してくれた。

――クロアチアを取材すれば、ユーゴスラビア紛争は避けられないテーマとなります。まだ幼かったモドリッチとその家族は、祖父が銃殺されたことをきっかけに故郷のザトン・オブロヴァチュキを捨て、難民としてザダールのホテルで暮らすことになりました。

クロアチアの人々もモドリッチ本人も、あの紛争について語ることを好まない。だが、この本のコンセプトは、難民となった少年がいかにしてトップクラスの選手になったかを描くことにあり、避けては通れない道だった。紛争についての話を聞くために、彼らの心を開く必要があった。

――あの紛争も、モドリッチというフットボーラーを形づくる一要素なのでしょうか?

私の理解において、モドリッチにとってフットボールは容易なものでしかない。彼は祖父を殺されて、日常的に爆撃を受けていた場所で育った。それらと比べれば、フットボールのピッチで1対2など数的不利に立たされることも、PK戦のキッカーを務めることも大したことにはなり得ない。爆撃は死をもたらすが、フットボールは勝ち負けをもたらすだけだ。モドリッチはモドリッチという人間であるから、ああいう選手になったのだとしか言いようがない。

――モドリッチがNKザダールの下部組織で練習し始めた頃、空襲警報が発令されたときに行われた“ゲーム”には衝撃を受けました。

警報が鳴ると、子どもたちの“ゲーム”が始まった。誰が一番早く避難場所へとたどり着けるかをかけっこで競ったんだ。それは“ゲーム”でありながらも、自分たちの命を守る行為だった。

――この本には、モドリッチが主に二つの困難を乗り越えていく様が描かれています。一つは紛争、そしてもう一つは小さな体格です。

その通り。彼は幼少時からチームメートより一際小さく、練習後に逆立ちして背を伸ばそうとさえしていた。プロ選手となった後もディナモ・ザグレブ、トッテナム、レアル・マドリーと、どのチームでもその体格によって活躍できるかどうかを疑われたが、しかし最後には成功を収めている。体格のハンデを物ともせず、攻守にわたって輝く選手を描写することも一つのテーマだった。

――この本を、どのような人たちに勧めたいですか?

フットボールが好きな人たちはもちろんだが、ほかとは異なる道程を歩んできた一人のスポーツマンに興味をそそられるならば、ぜひ読んでいただきたい。33歳という年齢で、これだけの経験をしてきた人物はそういない。モドリッチは何度も困難に出くわしたが、自分の可能性を信じることで乗り越えてきた。何よりも、自分自身に打ち勝つ大切さを教えている本だと思う。

※本編はルカ・モドリッチ 永遠に気高き魂をご覧ください。

NIZHNY NOVGOROD, RUSSIA - JUNE 21: Luka Modric of Croatia looks on prior to the 2018 FIFA World Cup Russia group D match between Argentina and Croatia at Nizhny Novgorod Stadium on June 21, 2018 in Nizhny Novgorod, Russia. (Photo by Maja Hitij - FIFA/FIFA via Getty Images)


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【商品名】ルカ・モドリッチ 永遠に気高き魂
【著者】ビセンテ・アスピタルテ、ホセ・マヌエル・プエルタス
【翻訳】江間慎一郎
【発行】株式会社カンゼン
2018年10月19日発売予定(※発売日は変更になる場合がございます)

先のロシアW杯でクロアチア代表を準優勝に導き、大会MVPに輝いたモドリッチのすべてがわかる本格バイオグラフィー。スペインで発売され大きな話題となり、ロシアW杯のエピソードを大幅に加えた最新版が日本初上陸。

知られざる幼少期の生い立ちから少年時代、戦争の悲劇、体の小ささからなかなかプロへの道が開けなかった不遇の時代、クロアチアにおけるプロとしての紆余曲折の歩みと才能の開花、スペイン レアル・マドリーでの大活躍、そしてロシアW杯での不屈の成功…と、まだまだ日本では知られていないモドリッチの成長秘話や人となりを丹念に描き出していく。

幼少時代からの貴重な写真の数々も必見。


 

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