子どもの運動神経を育てる「9つの基本動作」
2018年11月08日
コラム
運動遊びのなかで子どもが好きなことに没頭していく
取材で訪れた日の運動教室の様子を覗くと、ランパートとマットパートを複合したメニューが展開されていた。子どもたちが教室内を元気よく走り回ったり、ケンケン跳びをしてみたりしたあと、敷かれたマットのうえをでんぐり返ししたり、跳び箱の高さに設定された竹の上を慎重に歩いてみたりしていた。そして最後に、それらの動きを総合する応用編の位置づけとして、逆上がりに挑戦する、という構成になっていた。
「ランパートやマットパートでおこなうドリルは、さまざまなスポーツや体育種目の基礎となるものです。その組み立て方次第で、たとえば、逆上がりなどの習得もスムーズになります」と坂口さんがいう。
逆上がりや逆立ちなど、ある特定の種目をできるようになることを目指す、目的達成型の体操教室も多いが、LACでは、逆上がりができることをゴールにしていない。
「逆上がりを達成することだけを目標にしてしまうと、そのためのテクニックを教えることになり、逆上がりはできたとしてもそれ以上の広がりはありません。それに対して、LACはスタート型です。子どもたちにさまざまな基本動作を体験してもらい、それを組み合わせていくことで、逆上がり跳び箱、サッカーなどのスポーツの習得もスムーズにできるようにしていくのです」
このスタイルは、時流の“個性を大事にする”教育にもつながるという。
「体力にも個性というのがあります。さまざまな動きを経験していくことは、子どもの個性を発見できる点でもよいのです。走るのが得意な子もいるでしょうし、走るのは苦手でもマットが得意な子もいれば、ボールの扱いが上手な子もいます。LACではそれぞれの子の成長期に合った個性を大事にし、伸ばしていきたいと考えています。そして、子どもたちには、運動を通し、好きなものを見つけて、苦手なものは克服する力も身につけていってほしいと願っています。このことは将来、社会に出たときも 役立つものですから」
LACのレッスンは60分だが、年中・年長の子どもたちは誰一人飽きることなくメニューをこなしていた。メニューがランパート、マットパートに分かれていることはもとより、さまざまな動きを体験するため、どんどん次のメニューに移っていくので、 子どもたちにとって常に新鮮さが続き、飽きないのだ。
「色々な運動遊びのなかに好きなことがあれば、子どもは放っておいてもずっと続けるものです。たとえば、子どもにボールを与えてあげれば、自然と蹴る動作を覚えたり、投げる動作を覚えたりします。それらの運動遊びのなかで子どもが好きなことに没頭していく。子どもに選択肢を与えるなかで、自主性が出てくることや自らチャレンジする姿勢を見守ることも大事だと思います」
子どもが好きな運動に没頭し、気づけば 運動習慣が身についている――。これこそがLACが描く理想だ。
「近年、運動をしない子どもが増えてきた、とよく言われるだけに、LACは、子どもが運動をすることが好きな子どもを増やすための環境を整えたいと考えています。今の子どもは公園に行ってもゲームをしていますが、昔は、放課後の校庭や公園に行って、みんなでサッカーや野球、バスケットボール、ソフトボールなど色々なことをやって遊んだものです。まさに、それはリトルアスリートクラブでやっていることを普 段から自然とやっていたんだなと思います」
最後に読者に対してのメッセージをいただいた。
「すでにサッカーをやっている場合でも、成長段階によってスポーツ適性も変わってきますし、子どもの興味も変わってきます。さまざまな動きを経験するという意味でも、小学生のころはほかのスポーツもいろいろ体験させてあげるとよいと思います。複合競技をしているほうが運動能力も高まるというデータもありますから」
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