あなたのチームに「クラブの哲学」はありますか?【10月・11月特集】

2018年11月09日

コラム

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どのサッカークラブにも「クラブの哲学」が必要

倉本「ほとんどのクラブが哲学から作っていなかった、またはコーチのイメージとしてはあっても明確な言語化がされていなかったことが浮き彫りになったと思います」

高橋「メディア向けには、ダブルパスの審査は発表するということだったのですが、結果的に発表されませんでした」

倉本「他のクラブの点数すら発表されませんでした。ということは、おいしい思いをしているのはダブルパスだけなんです。Jクラブの内部情報を知ったわけですから。他のクラブの点数や評価を知ることができるのなら、『じゃあ、こうしていこう』となりますが、全く公開されていません。

 ダブルパスの審査を入れるのに、どれだけ投資したのかと思います。大宮はブラッシュアップして提出するだけの状態でしたが、他のクラブはほとんどが一から作らなければいけない状態だったと聞いています。

 そもそも哲学や指導方法、指導メソッドはスタッフ内で共有するためのものですし、新しいスタッフにレクチャーするためのものでもあります。私は『これがゲームモデルです』という事例を映像を通じて、各アカデミーに落とし込み、ポジションごとにも理想の選手像を作っていました。だから、何歳の時にこういう選手が欲しいというように」

木之下「だから、2年前に大宮の育成部にインタビュー取材をした時に、クラブ哲学などの明快な資料が出てきたんですね」

倉本「中村順さんが作っていたので、あとは指導スタッフ全員でブラッシュアップしていきました。システムからすべて詰めて行きましたし、ダブルパスの審査が入るからと、様々な方向から議論しました」

木之下「私もいろんなJクラブの育成指導者にクラブ哲学などの指導に関することを資料化しているかをたずねましたが、そこまで行っているのは数クラブだけでした。でも、ダブルパスの審査はポジティブに捉えると、それぞれのクラブが根本から向き合えるいい機会だったと思います」

倉本「そうなんです。確かに、現状はネガティブに見えますが、この先のことを考えるとポジティブな方向に切り替えられますし、ここで真剣に向き合ったかどうかは数年後に必ず現れてくると思います」

木之下「スタートがどうであれ、私もいいことだとポジティブに捉えています」

倉本「同感です。要するに、『あなたは何屋さんなのかをはっきりしましょうよ』というだけの話です。豚骨なのか、味噌なのか、何ラーメンなのかはっきりしろ、と。だから、『そのレシピを作っておけ』と。外部から来た新しい指導スタッフはそのレシピをもとに自分の色は付け足すけれど、まずはそのレシピを覚えることからスタートしなければいけないわけです」

高橋「ラーメン屋はわかりやすいです。現状はどこもいろんなラーメンを出していますよね」

倉本「だから、選ばれない状態になっています。胃が痛い時に、何にでも効く薬は飲まないでしょう?胃薬を選ぶし、その中でも一番いいものを選ぶわけです。だから、色を出さないといけません」

木之下「裏を返すと、プロクラブだからこそ必要です」

倉本「町クラブも必要だし、私は今後だんだんそうなっていくと考えています。クラブの哲学とか大切なところを言語化していないから周囲が価値として認めてくれないわけです」

中澤「私は地元が福井なのですが、あるクラブの代表はお父さんコーチが退団して辞めると、また新たなスタイルを教えていくから一貫指導が行われていないと嘆いていました」

倉本「やはり代表がどんなサッカーをするのかを決めなければいけないのです。私たちの少年団、クラブの哲学はこうです、と。だから、こういうサッカーをするからああいう選手は合わないから、違うクラブに行く方がいいと思いますと言うことができるようになります」

中澤「取材したクラブはクラブの哲学や指導方針を決めて、数年がかりで取り組んだ結果、うまくいったそうです」

木之下「そういう意味でいえば、最近の全国の新興勢力を見ていると、安定的に成果を出しているのは色のあるクラブです」

高橋「たまたま選手が揃っていた場合もありますよね」

木之下「いえ、その中でも安定的に結果を出しているクラブもあります。例えば、大阪のリップエースなどです」

倉本「私も交流があるので、リップエースは知っていますよ」

木之下「クラブとしての色がはっきりしているから安定的に選手を輩出していますし、結果も残しています」

倉本「色が出ていいんですよ。あとは、選手たちが披露するサッカーで良いか悪いかはわかるわけですから」

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