伝えないと理解してくれない。それはサッカーでも同じ。サッカー選手がサッカー以外を学ぶ重要性【1月特集】
2019年02月06日
コラムアメリカの大学サッカーは一体どんな仕組み?
――私もいろんなところでサッカーをしていますが、パスを出さなくてもいいのに、気を使って無駄なパス交換することはあります。
黒崎選手「サッカーでいえば、特にアメリカはゴールへの意識が強いです。『横パスを出してくれたらゴールを決められたよ』ってシーンでも、自分が主張してシュートを打ちますから、そこは『私がフリーだけど』と思う時もあります」
――濃い話ばかりが最初に来てしまって、少し基本的なところを飛ばしてしまいました。アメリカの大学でのサッカー環境の基本的なところを聞かせてください。アメリカはどのくらい練習するのですか?
黒崎選手「NCAAの規定の中に練習時間が決められています。例えば、プレシーズンは二部練をやりますが、シーズンに入るとだいたい木曜と日曜の中二日で試合が行われるので、トレーニング強度自体がそこまで上げられないようになっています。だから、シーズン中の練習は1日2時間以内+ミーティングくらいです。でも、今シーズンが始まる前に新しいコーチに変わり、やり方がすべて新しくなりました。昨年に比べると、練習が長かったりと、あまり効率もよくありませんでした」
――リーグ期間中は3か月間とのことでしたよね。
黒崎選手「アメリカではリーグのことを『カンファレンス』と呼びます。私が所属したケンタッキー大学が戦うカンファレンスでは、木曜と日曜(金曜と日曜の場合あり)に試合を行い、10月の終わりまで続きました。アメリカ全体でカンファレンス数は31くらい。一つのカンファレンスに14〜15チームが入っています。年によっては、カンファレンス内でも戦わないチームもあります。8月の頭からシーズンインして、5〜7試合のプレシーズンを戦う流れです。そして、9月の半ばからカンファレンスがスタートします」
――例えば、バスケットボールなどのようにプレーオフはあるんですか?
黒崎選手「カンファレンスによって多少のルールは異なりますが、10月までがレギュラーシーズンです。そして、11月の頭までにカンファレンス内の上位10チームでトーナメントを行います。そこで優勝したら各カンファレンスの優勝チームは全米トーナメントに出場できます。
31あるカンファレンスには300校以上の大学があり、それらが『Division 1』の大学リーグとして所属しています。そのうちカンファレンスで優勝した31校は自動的にプレーオフのトーナメントに出場権を得て、残りの33校はNCAA側からセレクトされます。つまり、全米トーナメントは合計64チームが全米一位を目指して戦う大会です。ランキングについては、たまにサプライズもありますが、ほとんど上位チームが選ばれています。11月半ばからトーナメントが始まり、決勝は12月の上旬に開催されます」
――アメリカは全土を一つとして捉え、学生アスリートが目指すべき大会設定、またレギュラーシーズンのスケジューリング、さらに出場資格として学生という前提条件を加味したルールなどがしっかりと作られています。その仕組みづくりは本当にすごいです。
黒崎選手「NCAAが構成しているカンファレンスについては日本の方々によく質問をされますが、規定やルールがたくさんあります。例えば、カンファレンス内でもすごく遠方にある大学同士だと戦わなかったりして柔軟な部分もあります。そのため、『こうなんですよね』って簡単には説明できません」
――私もNBAが好きで、学生の頃はよくテレビで見ていたりしたからカンファレンスやプレーオフの仕組みが多少はわかるけれど、予備知識がない人はわかりませんよね。
黒崎選手「カンファレンスって何なの? そういう感じですよね。最近、アメリカの大学リーグについて卒論を書いている人が増えているようで、よく質問されるのですが、言葉だけでは説明できないし、図解とかそういうものも必要になります」
――絶対にそうですよね。次はちょっと小さい頃の話とか、大学での生活とかそのあたりも聞かせてもらいます。
<プロフィール>
黒崎 優香(くろさき ゆうか)
福岡県北九州市出身の21歳。兄の影響でボールを蹴り始め、4歳の頃からサッカーチームでのプレーをスタート。小学生の頃は地元のクラブ「神理FC」に所属し、男子の中に混ざってプレー。中学時代は地元クラブの「ニューウェーブ北九州レディース」に入団しナショナルトレセンにも選出される。高校時代は藤枝順心高校に進学し、2013年には現なでしこジャパン監督の高倉麻子氏のもと、U16日本代表に選出されてコスタリカ遠征を経験。高校最後の全日本高等学校女子サッカー選手権大会では優勝を果たしアメリカ・ケンタッキー大学にサッカー留学し2019年からオクラホマ大学でプレーする。
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