アトレティコ・マドリーはいかにして“二強時代”に終止符を打ったのか。巧妙な守備戦術の極意
2017年01月19日
サッカーエンタメ最前線世界でもトップの実力を持つクラブ、レアル・マドリーとバルセロナ。両チームが属するスペイン・リーガエスパニョーラは、04-05シーズンから12-13シーズンまでこの2チームのいずれかが優勝を果たしていた。その“二強時代”に終止符を打ったのがアトレティコ・マドリーだ。アトレティコは以下にして、スペイン二強時代に終止符を打ったのか。『4-4-2戦術クロニクル』からアトレティコ躍進の秘密を紹介する。
(文●西部謙司 再構成●ジュニサカ編集部 写真●Getty Images)

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4─4─2型として最強のアトレティコの強み
バルセロナとレアル・マドリーの二強リーグだったリーガ・エスパニョーラは、アトレティコ・マドリーの台頭で三強に変化した。スペインの両雄に肩を並べたアトレティコは、自動的にCLでも優勝候補の一角になっている。
バルサ、レアルに対抗するための堅守速攻に徹したプレースタイル。基本フォーメーションは4─4─2、この型のチームとしてはおそらく世界最強だろう。
アトレティコは2トップを守備組織に組み込んで、従来の8人ブロックから10人に増員して守備を強化した。「間受け」と「ニアゾーン」という4─4─2の構造的な弱点を克服しているのも大きい。
ゾーンディフェンス攻略のポイントは、MFとDFの間へパスをつなぐ「間受け」だ。
MF4人とDF4人、この8人を線で結ぶと3つの四角形ができる。それらの中心にパスをつながれると、周囲の守備者4人はそこへ向かって収縮する。収縮することでボール保持者への圧力は強まるが、それだけ周囲にはスペースが空く。収縮してボールを奪いとる前に、広がったスペースへボールを逃がされてしまうと、守備のバランスが崩れやすくなる。
もちろん絵に描いたように四角形が3つできているわけではないし、「間」へパスを入れられたときに周囲の4人全員がボールへ向かうわけでもない。だが、「間受け」をされると守備側がポジション修正を迫られる。そのぶん攻撃側に使えるスペースが生まれ、守備側には不利な状況になっていく。ごく単純化すると、守備側のFWとMFの「間」へつなぎ、さらにMFとDFの「間」へつなげば、次のパスでディフェンスラインの裏へ入ることも可能なのだ。
アトレティコは、この構造的な弱点をかなりの程度潰すことに成功している。
まず、引いて守る際には2トップがMFのラインに近づいているので、FWとMFの間のスペースを自由には使われない。ここを自由にやらせないので、必然的にMFとDFへの「間受け」もされていない。
攻撃側がアトレティコのFWとMFの間に入ってパスの起点を作れないとなれば、バイタルエリアへつなぐパスの距離は長くなる。MFとDFの間へつながれても寄せる時間があるので、そこで潰せる確率が高くなるわけだ。さらにMFとDFの間隔自体も狭く、「間受け」に十分なスペースを攻撃側に与えていない。

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