U-17日本代表を率いる吉武博文監督に聞く ! 「蹴る」技術の重要性【前編】
2013年10月26日
コラム壁当てのキックだけでは絶対にうまくならない~壁当てからの発展~
──タイミングとは具体的にどういったことを指しているのでしょうか。
タイミングというのはドライビングテクニック。つまり技術をどう運用するかという判断にあります。いつ出すのか。そのパスを出すサインはいつ送るのか。
パスミスにはいろいろなミスがあるんですけれども、おおまかには、キックそのものが本来狙っていた位置からずれましたという技術のミスなのか(壁当てでも必要)、思ったところに蹴れているんだけれども受け手とのタイミングが合わずに相手に渡ったという判断のミスなのかに大別されます。後者の場合は、出すほうが悪いのか、受けるほうが悪いのかと言えば、これは両方ですよ。
難しいのは、サッカーは野球やハンドボールと違ってずっと(ルックアップして周囲を)見ているわけにはいかないんです。ボールを見ないといけないから。だからサッカーは、目を離せる選手がいい選手ですよね。ドリブルのままゴールに行く可能性がないとは言いませんが、稀です。ふつうはいつかボールから目を離すときに備え、誰に向けていつどのようにボールを出すかを考えておかないといけません。
パスをカットしてやろうろうと待ち構えている相手守備選手とのタイミングをずらして、一方で攻撃している自分たちは出し手と受け手の間でタイミングを合わせないといけない。それを2人ではなく、実際は3人、4人で合わせて連動させたいわけです。それは難しいことなんですが、意図していなくてもサッカーはたまに偶然、3、4人のタイミングが合うときがあって(笑)、勝ってしまうことがある。
その100回のうち1回の偶然で勝てたからいいというのではなく、100回のうち100回合っていて負けたのであれば、それは悪くないんじゃないのというような発想になっていかないと、質は上がっていかないと思います。
──なるほど。すっかり日本の子どもたちの技術が高いものかのような気になっていましたが、ゴールデン・エイジでやっておくべきことができているわけではないのですね。
そうですね。それがまだまだできていない、という報道はどんどんしていただいたほうがいいと思います。そしてタイミングは難しい。(受ける心のない)壁に蹴っているだけでは絶対にうまくならないですから。体に染みつかせるために、いいヴィジュアルを見せる、テレビだけじゃなくて実際にいい手本を見せられるかどうか。写真を見たり、文字で書かれたものを読んで理解することも必要ですし。それを仲間と共有して、あれがいいと話し合うことも必要。
クリアしなければいけない課題がいっぱいあります。その最初にあたるのがキックですが、ボールを止められない子が蹴れるとは限りません。蹴る技術とあわせて、止める技術も重要です。「止める」と「蹴る」はどちらが先かではなく、どちらもできないといけない仕事です。
総じてボールフィーリングということになりますが、これを得るには数をこなすしかないです。たくさんボールに触らせ、意図したとおりの場所にボールを出せるようにしなければなりません。それも、左右の差がなくできることが大切です。
左利きの子(レフティー)は左足が重宝されるので右足で蹴れない子が多い。蹴れるけど使わないというのならいいのですが、蹴ることができない子が多いので、それは問題だと思います。利き足の逆を使えれば選択の幅が広まり、スピードアップにもつながります。
単に蹴れればいいのではなく、何のために蹴るのか。目的のために手段があるということを理解しないといけないですね。本来は、こんなパス回しをあの子とあの子と僕でするために柔らかいパスを蹴らなければいけない、というイメージと目的があって蹴り方をチョイスするわけですから。
そう考えると、いろいろなキックを蹴れないのは、目的がないからなんです。蹴れ、と言われると、届けばいいんでしょう、ということになってしまう。でも届け方はいくらでもあるし、何をチョイスするかの自由もあります。そのときにアウトサイドでこうやって蹴ってみようという想像力がないからできないんです。
プロフィール
吉武 博文(よしたけ・ひろふみ)
1960年、大分県生まれ。大分市立明野中学校サッカー部監督時代に永井秀樹や三浦淳宏らを指導。その後、大分トリニータU-15コーチ時代には清武弘嗣を指導。その後、大分県サッカー協会県トレセンコーチ、日本サッカー協会ナショナルトレセン九州担当チーフコーチ等を歴任。2001年に日本サッカー協会最上級のS級ライセンスを取得。06年に教師を辞めてコーチ業に専念し、09年にU-15日本代表監督に就いた。2011年メキシコで開催された「FIFA U‐17ワールドカップ」ではチームをベスト8に導いた。
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