「フットサルって足下がうまくなりますよね」。それだけじゃないメリット “重要な決断” が繰り返される価値とは【8月特集】
2018年08月22日
育成/環境
ジュニア期にフットサルもサッカーも境界線はないと思う
――真剣勝負の場、という点は非常に共感します。サッカーの場合、ミニゲームで5対5をやると、みんな気持ち的に楽になったように感じています。要するに、8−3=5で3人分少なくなって楽になったというマインドになるのかな、と。昨年からフウガドールすみだのジュニアチーム「エッグス(U12)」はサッカーの大会にも参加されています。そのきっかけは何だったのでしょうか?
須賀氏「一番は『子どものために何がいいのか』と考えた時にそういう決断に至りました。私たちはフットサルクラブなので、『まずはフットサルをしっかりとプレーできる環境を作りたい』ということで6年前にジュニアチームを立ち上げました。その中でフットサルもサッカーも同じフットボールだから、フットサルのスキルがサッカーにも生きるはずだという考えがありました。だから、『ただフットサルの選手になればいいですよ』ではなく、ジュニアではまずフットサルを一生懸命に練習してジュニアユースに上がった時に『また進路は考えればいいんじゃないかな』というアプローチです。それにサッカーを全くプレーしないというのは、子どもにとってもネガティブな印象を持ってしまうので、ジュニアではサッカーも同時進行で指導したいなと。
でも、ジュニアを立ち上げた当時はその希望を叶えられなかったので、サッカーは別のチームでやってくださいというスタンスでした。フットサルは人数が5人なので、チームに何十人も選手を抱えてしまうと全員が集まった時はあふれてしまいます。逆に、半分以上がサッカーを優先してしまうと試合ができなかったり練習にならなかったりしてしまいます。結局は人数が集まらなかった時、たまにサッカーから来る子にとってはあまり問題がありませんが、フットサルを真剣にやりたい子にとっては不都合なことが多かったんです 。フットサルの世界では、今は子どもでもサインプレーがありますし、一回の練習の重みが大きいんです。
そこで『無理してフットサルをやらなきゃいけないと縛られるのではなく、(フットサルがメインで)サッカーもやりながらジュニアユースで選べる形を取ればいいのではないか』と考えました。そうすればフットサルを一生懸命にプレーしている選手たちも、サッカーもやりたいと思っている選手たちも両方が安心してジュニアチームに所属できる、と。実は、サッカーをやっている子どもたちからも要望がありました。
私の中では、ジュニア年代はフットサルもサッカーも違うものではない時期になります。だから、両方をプレーするというのはジュニアユースでフットサルに進む子どもたちにとっても大きな経験になると思っています。それで昨年から『サッカーチームとしての登録も行って活動をするから』と保護者にも説明して所属チームを選んでもらい、1年間かけて調整して今年から両方で活動していくという道に進みました」
――日本のサッカー界では、未だにフットサルは別物みたいな見られ方をしています。ジュニアでも少しずつフットサルを取り入れているチームが増えていますが、フットサルクラブがサッカーも指導するというのは珍しいパターンです。
須賀氏「そういう意味では、日本でフットサルと思われているものが、私たちが考えるフットサルではないのかもしれないというふうに思います。ずっとドリブルだけをしているものがフットサルだと勘違いされてしまっているのではないでしょうか。きっと、どこかでそういう刷り込みがあるのかもしれません。それは、もしかしたらフットサル側の人間が間違ったアピールをしたのかもしれません。
でも、フットサル日本代表監督にミゲル・ロドリゴ、現在はブルーノ・ガルシアが招聘され、彼らが『フットサルというスポーツはドリブルでこねくり回すものではないんですよ』ということを、日本サッカー界、そして育成年代の指導者に粘り強く発信し続けてくれているおかげでフットサルを理解してくれる人たちが増えてきました。
サッカーの文化もちょっとずつ醸成してきたと思うので、私たちも慌てずにしっかりとフットサルの正しい情報を発信しつつ、自分たちの育成組織からサッカーでも通用するような人材を出していくことがフットサルの理解を早めるポイントなのかなと捉えています。そういう選手が出て、フットサルがどういう影響を与えてくれたのかを正しい言葉で発信してくれたらまた変わってくるのかなと思います。
私たちフットサルの人間がいくらいいですよと口で言っても、やはり結果としてどうだったのというところに結びついていくので、結果的に育成組織で育った選手たちが実証してくれるのが一番なのかな、と。ある意味、私たちがサッカーチームとして活動することでフットサル選手を目指す子は幅が広がりますし、サッカーという進路を選んだ選手が将来日の丸を背負う機会があればフットサルの有用性も信憑性が増してくるはずです。私たちにとっては、それが一つの目標でもあります」

フウガドールすみだ・須賀雄大強化本部長兼監督
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