「フットサルって足下がうまくなりますよね」。それだけじゃないメリット “重要な決断” が繰り返される価値とは【8月特集】

2018年08月22日

育成/環境

フットサル特集03

フットサルボールを使うことで次のプレーの絵が見える

――サッカー側の人間がフットサルを正しく認識していない。これがジュニア年代でフットサルをまだまだ取り入れられていない一番の要因なのかなと思います。私も実際にFリーグを観戦に行ってみて初めてサッカーと共通する部分、特にジュニアを中心に考えると応用できるものがたくさんあるなと感じました。

須賀氏「今『応用』という言葉が出たのですが、まさしくそれがフットサルのキーになる言葉です。私もサッカーをしていましたが、小中高の頃に一番クローズアップされたのが技術だったんです。うまい選手と言われていた選手のプレーで取り上げられるのがコントロールだとか、パスの質だとか、すべてオン・ザ・ボール(以下、オン)の部分でした。結果として、それが上手な選手だという触れ込みがあって、結局はどうサッカーをするのかではなく、ボールを扱う技術がどううまいのかが選手を評価する基準だったんです。

 ご存知の通り、フットサルボールは弾まないのでボールコントロールが容易にできます。技術的な部分でサッカーボールだったら難しいコントロールもフットサルボールだとシンプルにできてしまいます。だから、『技術的に至らない選手もその次をプレーできる』というのがフットサルのメリットです。

 つまり、応用の部分を考えられます。じゃあ、次にどういうプレーをしたらいいのか。 体をこういう角度に開いてプレーすると、次が見やすいよ、と。次を見て、何を狙ってプレーするのかという技術の先にある扉を開けることができるんです。

 しかし、サッカーでは1タッチ目のコントロールに意識が行き過ぎてそれができることがすべてという評価が働いてしまいます。もちろんその部分も必要だし、考え方によっては難しいところではありますが、フットサルは1タッチ目のコントロールが簡単にプレーできるスポーツではあると思うんです。その分よりその先の具体的なプレー、つまり応用の部分が実践できると育成年代から戦術的なプレーができると捉えることもできます。

 例えば、ジュニア年代の選手に戦術的なプレーをさせようとした時に、サッカーでは難しすぎて浸透していかないということが多々あると思います。それがフットサルボールを使うだけで、意外とシンプルに伝わったりします。そうすると、子どもたちはプレーの絵が見えてきます。その絵が見えたら子どもたちは「こういうふうにプレーするんだ」と理解する。それをフットサルボールでしっかり習得し、サッカーボールで振り返ってみたらいいと思うんです。

 その時に「次の絵は見えているんだけれども、実行できない時に初めて技術が足らないんだ」と実感できる。そうしたらコントロールのドリル練習を行ったらいいですし、その前のパスの質が悪かったらパス練習をすればいい。要するに、認知と決断以外のところを重点的にトレーニングすればいいと思うんです。

 でも、今は認知と決断の部分ではなく、実行の部分をしっかりやることからスタートしているので、結局「これがうまくなったらどうするの?」という次の目的となる絵が見えないまま練習しているので時間がもったいない感じがします。自主性を持って練習をやると言っても、どこに問題を抱えているのかをわからないまま、とりあえず止める蹴るばかりを取り組んでいる。でも、問題は別のところにある。プレーする本人がそれに気づかないままトレーニングするのは時間の無駄です」

――フウガドールすみだのU10・U12では、フットサルボールとサッカーボールを両方使い分けて練習しているのですか?

須賀氏「基本的に練習はほとんどがフットサルになります。ただ週1回サッカーのトレーニングがあって、週末はフットサルかサッカーかどちらかの試合があるという流れです。サッカーの公式戦にも出場していますし、ちょうど昨日までサッカーの合宿に参加していました。

 私の考えでは、ジュニアでフットサルばかりをやっていたからジュニアユースでサッカーをやれないかと問われたら十分にプレーできると思っています。基本的にフットサルのトレーニングで『認知-決断-実行』のスキルを詰めていって、その中でどうサッカーに生かせばいいのかを考えていけたら十分に通用すると思っています。

 自分自身、中高と暁星でサッカー部に所属していました。グラウンドが狭かったので縦35m×横40mぐらいのコートしか取れず、ひたすら6×6+GKをやり続けていました。そういう環境の中でトレーニングを積んでも、前田遼一選手(FC東京)が育っています。もちろん、そればっかりしているわけではありませんが、練習のベースはミニゲームが中心です。

 ピッチが狭ければ守備の強度は上がるし、必然的にゴール前の攻防が連続する形になるので激しいです。うまくいけば得点に直結し、一つ間違うと失点するミニゲーム形式の練習環境を続ける中でJリーガーが育っているわけで、ではジュニア年代でフットサルを取り入れて何か大きく変わってしまうと問われたら、メリットはあれどデメリットはないというのが私の意見です。いきなりサッカーボールに触れてコントロールがうまくいかずに挫折感を味わうことは考えられますが、それは同時進行として経験を積ませたらいいだけの話です。だから、私たちは保護者にそういう話をしっかりしてプロセスを踏んでジュニアチームを作ってきました」

【特集】考える力はまず少人数制で鍛える

 

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