「優勝」という目標だけでは指導者としてあまりに無責任。バルサ指揮官が情熱を注いで築いた選手との信頼関係/ワーチャレ取材日記④
2018年08月27日
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2018【ワーチャレ取材日記①】たった少しの修正で状況が一変!バルサ指揮官が示した修正力。町クラブのパーシモンが見せた戦術的アプローチとは?
【ワーチャレ取材日記②】なぜバルサはうまくいってないのか? 監督が語るその理由
【ワーチャレ取材日記③】バルセロナが大苦戦!世界最高峰クラブを追い詰めたFCパーシモンの守備戦術とは?
取材・文●木之下潤 写真●佐藤博之
【バルセロナは決勝戦でアーセナルに快勝。3年連続5回目の優勝を飾った】
FCバルセロナの選手であっても子どもの成長には時間がかかる!
1試合、1試合、順調に成長するジュニアチームは存在しない。
今大会もFCバルセロナを追い続けて、あらためてそう感じた。毎年1試合ごとにポジティブな成長を遂げる姿しか目にしていないため、彼らを世界有数の名門クラブの選手としてしか見ていないことに自分自身反省した。
彼らは日本の選手たちと同様、まだ子どもなのである。
しかし、子どもとはいえ、『FCバルセロナ』という看板を背負っている。その『子どもらしさ』と『バルサらしさ』との間で、彼ら選手の中にも、監督とスタッフの中にも葛藤を持ちながら毎日格闘しているのだ。それが大会最後の囲み取材の中で行った「決勝では随分と指示が減りました。監督と選手との信頼関係が築けたことも決勝のサッカーにつながった要因ですか?」との質問の答えに集約されていたように思う。
「そこは以前(ワーチャレ取材日記②)も話しましたが、私たちはプレシーズンの時期です。まだ選手同士、監督と選手の間で分かり合えていない中で始まった大会です。私たちバルサはどのカテゴリーも共通した同じ哲学を展開しなければなりません。ただ、その中でも監督によって異なる色が存在します。その色の部分をどう伝えるのかというところでは時間がかかりますし、その作業は行わなければなりません。今大会は徐々にその部分がよくなっていき、最後の決勝戦では私たちが求めていたスピード感であったり、そういうサッカーを展開してくれたので言葉数も減ったのだと思います」
初日から通じて、決勝ではダビド・サンチェス・ドメネ監督からの指示は随分と少なくなった。そして、なぜそういう質問をしたかというと、前半半ばの飲水タイムの光景が目に止まったからだ。それは監督からの指示を選手たちが当事者意識を持って食い入るように見つめる姿だった。そこには今大会はケガで出場できないメンバーも含まれている。
明らかにアーセナルFCとの決勝ではここまでの試合と違い、どの選手もバルサ哲学を表現していた。もちろん個人のレベルによるが、少なからずその影響が功を奏して選手同士の間で競争意識が生まれ、生き残りをかけた戦いが始まったように感じる。監督と選手との間に信頼関係が築けたからこそ「バルサ哲学を表現するために必要なプレーがどういうものなのか」という監督の言葉がより理解できるようになった。そして、選手たちもまたそこに自分の色を出そうと必死に戦った。そこがFCバルセロナが今大会を通して一貫して取り組んできたことだ。
それは試合後の囲み取材で、この大会を取材し続けているフリーランスの大塚一樹氏が「決勝戦にかけて何か変えたことはあるのか?」という質問に対する答えが示している。
「特に何かを変えたことはありません。常に自分たちのやりたいサッカーを求めていました。ただ、それが相手によってできなかったり、自分たちのコンディションによってできなかったりというころはあるかもしれません。でも、決勝は自分たちが思い描くサッカーが完璧ではありませんが、それなりに表現することができて結果がついてきました」
決勝の対戦相手がアーセナルFCで、少なからず同じヨーロッパの強豪クラブとして「負けられない」という思いがあったのだろう。しかし、何よりもここから自分たちにとって勝負のシーズンが始まり、FCバルセロナの選手としてプレーで哲学を示して相手に勝利すること、かつ自分自身のいいプレーを出し続けなければならない。なぜなら彼らは上のカテゴリーに昇格できるかどうかの生き残りがここからすでにスタートしているからだ。
そういう意味でも今大会を含めて、FCバルセロナの選手たちには『崖っぷち』という意識が常に心のどこかにあることは間違いない。
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