“カテナチオの国” イタリアの子どもが12歳までに身につける守備の基本。日本人は「ボールを奪い切る能力が養われていない」
2018年09月04日
サッカー練習メニュー
サッカーは攻守がセット
ここまでルカさんに守備についての話を聞いてきたのだが、印象的だったのは、それが自ずと攻撃の話にも繋がっていたということだ。あくまで攻守はセット――。サッカーの真理として忘れてはならないことが、当たり前のようにトレーニングに落とし込まれている。 「今日は守備のことを聞かれたので守備につ いてお答えしましたが、サッカーは攻守がセットです。僕らがこのスクールで求めているのは、ディフェンダーとしてボールを奪える素晴らしい選手になることもそうですが、 加えて、ディフェンダーはボールを奪ったら 素早く攻撃の選手になりかわらなければなりません。ディフェンスはボールを奪ったらすぐ遠く蹴り出すのではなくて、次の攻撃のプレーまでしっかり意識する。攻守両方を考えてプレーすることが大事です」
ルカさんは来日されて現在4年目。最後に、この間の日本サッカーの守備についての感想を聞いてみた。 「日本サッカーの守備は、これは日本代表でも、Jリーグのチームもそうですが、チームの戦術のなかに守備が組み込まれているという印象が強いですね。小さい頃からの守備も含めて、ボールを奪う、ということに何らかの制限がかかってしまっている印象があ ります。チーム戦術として『ここはボールにいくな』『ここは抜かれてはダメ』『絶対に外側へ追い込もう』などといったチームの決まりごとが多く、本来、子どもが持っているボールを奪い切る能力が養われていないような印象を受けています。
欧州の選手たちはコーディネーションが悪いのに、一人でしっかりボールを奪える力が幼少期の頃から しっかり身についている。イタリアは守備の国として有名ですが、今はイングランドのプレミアリーグでも、ボールを激しく奪えるかどうか、が評価の基準として見直されています。今年プレミアリーグを制覇したレスターの選手たちも決して綺麗なサッカーはしているわけではありませんが、ボールを奪うために献身的に守備をしている。それがチームにとって有効だからです。そして、欧州ではトッププロの世界でも、一人でもボールを奪える選手がチームに有効なプレーができる選手として評価されています」
そういう世界の潮流があるなか、日本のU-12世代でも、まず何よりもボールに積極的に絡み、ボールを一人でも奪える力を身につけることが非常に大事だ。そのことを念頭に置きながら、まずは1対1や2対2をマスターしたい。
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【発売日】9月6日(木)
【特集1】5つの視点から学ぶ 12歳までの『守備戦術』
◇元日本代表センターバックに聞く守備の極意●岩政大樹
◇ジュニア年代でおさえるべき守備の原理原則●松田浩
◇ドイツでは守備戦術をどう教えるのか?●中野吉之伴
◇中村航輔選手を輩出した柏レイソルのGK育成論●井上敬太(柏レイソルGKコーチ)
◇チームの守備は等間隔を意識する●西宮サッカースクール(兵庫)
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