オスグッド、シーバー病…。成長期の子どもに起こるスポーツ障害の対応法
2018年10月10日
コラム高学年に入ると、子どもたちは成長期を迎えます。身長が伸び、身体は大きくなりますが、その成長速度に筋肉が追いつけず、多くの子どもが成長期特有の障害に悩まされがちです。このジュニア年代特有の障害・症状について、長年、横浜FCでチームドクターを務める佐藤秀樹氏(行徳中央クリニック院長)にお話を伺いました。
取材・文●三谷悠 写真●ジュニサカ編集部、佐藤博之
『ジュニアサッカーを応援しよう! VOL.50』より一部転載
【横浜FCでチームドクターを務める佐藤秀樹氏】
骨と筋肉の成長度合の違いが大きな障害の原因に
――まずは話を進めるにあたって、小学生年代で起こりうるケガに対して、意識的に考えなければいけないことを教えてください。
特に考える必要があるのは、成長期に入った小学校高学年の子どもたちですね。その理由は、成長期における骨と筋肉の成長速度の違い。これが、成長期の子どもたちに起こる障害や症状の大きな原因になっています。
実は骨のほうが成長が早く、筋肉はその成長速度についていけません。つまり骨が伸びても、筋肉の長さや大きさはそのままなので強く引っ張られるようになり、筋肉は張力が高まって柔軟性を失ってしまうのです。
このように筋肉がカチカチに固まってしまうと可動域が狭まり、なおかつ、骨自体は成長中で筋肉との結合部も弱いため、ケガが起こりやすくなります。ジュニア年代のサッカー選手の多くは、こうして骨や筋肉、関節や腱などを負傷しやすく、今回紹介している2つの障害も、その多くがこのような因果関係で起こっています。
――成長期こそ気をつけなければならないのですね。
成長期の子どもの身体が急速に大きくなることを「グロススパート」と言います。先ほどの話の通り、まさに骨が一気に成長している段階で、このときに障害や症状は起きやすくなります。
もちろん、身体の成長には個人差があって、中学生や高校生でグロススパートを迎える子どもいますが、小学生でも身体が大きかったり、体格がガッチリしている子はグロススパートの最中と考えられますので、指導者や保護者の皆さんは特に注意してあげてください。
――選手としての能力が伸びやすい時期でもあります。
それは言えるかもしれません。しかし、上半身がいくらガッチリしているように見えても、骨はまだまだ成長中です。特に、ヒザや足首など荷重がかかりやすい箇所は、重たい上半身を支えるために、関節炎や疲労骨折を起こす可能性が高いと言えます。
また、こうした症状を抱える子どもがチームの主力である場合、指導者から「早く復帰してほしい」というプレッシャーをかけられることがあるようですが、私のような医療の立場からすれば、治り始めた段階で無理をすることはとても勧められませんが、それぞれのチーム事情があるので、そこに適したリハビリが必要と言えるのではないでしょうか。完治までの道筋を立てて説明し、その選手や指導者が納得できる目標を設 定することが大切だと感じています。
――万が一、大きなケガを負った場合の治療の期間において、大切なことを教えてください
すべての障害や症状に言えますが、1~2ヵ月の休養が必要になったとき、ただ休むだけではいけません。二度と同じ障害が起こらないように、リハビリはもちろんのこと、可能な範囲でストレッチや体幹トレーニングに取り組むなど、〝いまできること〟を行うようにしましょう。
大きなケガを抱えたプロアスリートがリハビリを行うなかで、自分にできる範囲で懸命にトレーニングをこなし、「弱点だった部分が克服できて、以前よりも力を発揮できるようになった」とコメントしているのを見聞きしたことがあると思います。
これは本当にその通りで、大きな障害や症状は、〝いまの自分に足りないところを教えてくれるサイン〟でもあるのです。ただ休むだけでなく、指導者や医師に相談しながら、この大切な時間を過ごしてほしいと思います。
――では最後に改めて、こうした障害、症状に見舞われた際の注意点を教えてください。
早期の発見が、まずは大切です。自己判断をしないで、病院に行って診断を受けてください。近年では特にエコー技術の進歩によって、血流の多寡などを判断材料に、以前は明確にわからなかった障害を発見できるようになっています。このように診断の精度は確実に上がってきているので、まずは通院を一番の選択肢として考えてほしいと思います。
そして、適切なリハビリを行う中で、自身の身体の弱点を見つけて補強する。それを繰り返して行えるようにするのが、指導者や保護者の皆さんの役目だと考えます。
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