3点差以上での敗戦。それは指導者の戦略ミスである/倉本和昌×坪井健太郎 対談④【12月特集】

2019年01月16日

育成を考える

12月の特集のテーマ「サッカーに必要なインテリジェンス」からお届けしてきた、倉本和昌氏と坪井健太郎氏による対談インタビューも今回で最終回となった。スペインサッカーに精通し、“指導者の指導者”として優秀なコーチを育成するサポートをしている二人の識者には、12月の特集テーマ「インテリジェンス」に沿った話だけでなく、日本の指導者に求められていることについて幅広く語って頂いた。最終回は前回(指導者の「色」がはっきりしないチームはポジショニングも決まらない)の続きからとなる。

【12月特集】サッカー選手に必要な「インテリジェンス」とは 倉本和昌×坪井健太郎/対談

取材・文●木之下潤 写真●佐藤博之、ジュニサカ編集部


【倉本和昌氏によるセミナーを開催!2/25(月)】「自分が目指すサッカーを言語化する具体的な方法」


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【第3回】指導者の「色」がはっきりしないチームはポジショニングも決まらない


日本はクリエイティブの選手の定義が曖昧!

――例えば、スペインではAやBという大枠のフレームを下の年代から提示されるわけですか?

坪井「ある程度、戦術要素として局面がどのくらいあってというのは決まっているんですよ」

倉本「パターンって、思ったほどは多くないんです。知っておけばいいだけなんですが、日本の指導者たちはそういうことに関して『もしかして拒否反応があるのかな?』って思います。枠にはめるとか、決め事をするとかというと拒否反応を示しがちです。それによって選手の自由を奪うと、極端に振れ幅が振り切れてしまっています。

 ツボケンもそうだと思うのですが、逆に、『それがあるから楽に判断ができるのにな』と感じるんです。受け取る側はそれによってクリエイティブな選手ではなくなると、極端に振れてしまっています。それは戦術という言葉にすごく抵抗があるからだと感じています」

坪井「『クリエイティブな選手を育てよう』という指針があるじゃない? 日本ではそもそもクリエイティブな選手の定義も曖昧だし、『クリエイティブな選手って何から生まれるの?』という知識も曖昧です。僕の中ではそういう選手って理論から生まれると思っていて、何か新しいものが生まれる発想というのは状況をきちんと理解した上で、論理的に『こうして、こうして、こうだからオレはこうするよ』と与えられた条件下で何かを作り出すことができる選手だと思っています。

 なのに、自由を与えてポッと出の選手というか、即興性の高い選手がクリエイティブな選手だと思われていますが、それは再現性のない選手だし、ただの偶然が重なったプレーでしかありません。サッカーはそういうスポーツではありません。

 カオスの中に再現性を作り上げていって、いかに相手をだますか。そういうスポーツなので、そのあたりの定義と『なぜクリエイティブが生まれるか』という考え方が明確になれば、自ずと指導がはっきりしていきます。そして、『戦術的なことを整備してあげることが、クリエイティビティを引き出すんだよ』ということに行き着くはずなんです」

――日本だと「クリエイティブな選手=作家性の高い選手」のようなイメージです。言ってしまうと、その人自身にしかわからない世界観の中で表現をして周囲に「すごい」と思わせるような感覚です。例えば、クリエイティブな仕事と呼ばれるようなものも「本来は時間に制限があったりする中でどう表現するか」が問われる仕事なので、短い時間の中でプレーすることが求められるサッカーも似たところがあるのではないでしょうか。

 そういう意味では、一般的に日本社会で解釈されている「クリエイティブ」という言葉自体が作家性の高いものとして捉えられているのかなと思います。それって条件がなかったりして、日本の育成年代にも同じことが当てはまります。だから、練習も設定や条件をうまくつけることができなかったりしていることが多々見受けられます。それをやると、指導者は『選手の判断を奪う』ような感覚に陥っている感じを持つ人がたくさんいます。

坪井・倉本「そもそも解釈が違いますからねー」

倉本「グアルディオラだって、これまでのアイディアは過去のもの摂取だと言っています。『誰かがやっていたものを今風にアレンジしているだけだ』と。多分アイディアが出る方法って二つしかなくて、足すか引くしかないと思います。条件を知っていないと足せないし、引けません」

坪井「目に見える形は同じであっても、その背景が異なる場合もあります。例えば、最近ヨーロッパでは3バックが増えています。けど、3バックの目的とか狙いとか、3選手に与えられたタスクは十数年前に流行った時とは違うんです。つまり、同じ3バックですが、以前の3バックとは違うことを理解してプレーすることもクリエイティビティだと思うんです。そうやってブラッシュアップしていくことで、3バックの流行としては同じですが、現象としては違うことに気づくことができます」

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【長年、スペインの育成カテゴリーで指導者を務めている坪井健太郎氏】

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