「フットボールについては隅から隅まで知っているよ」。すべてが破格だった『ヨハン・クライフ』という生き方
2016年06月09日
サッカーエンタメ最前線「ディ・ステファノの9番、ペレの10番と同じでは面白くないじゃないか」
73年、ミケルス監督の待つバルセロナへ移籍したクライフは、低迷していたチームを引っぱり上げて14年ぶりの優勝をもたらし、「救世主」と崇められる。レアル・マドリーを敵地で5-0と粉砕した「マニータ」など、数々の伝説を残しての快挙。シーズン終了後の74年ワールドカップでもオレンジ旋風を起こし、3度目のバロンドールを受賞した。
クライフが3年連続で受賞する以前、バロンドールを複数回受賞したのはアルフレード・ディ・ステファノだけだった。ディ・ステファノはクライフが目標としていた50~ 60年代のスーパースターである。CFでありながら、フィールド全体を把握して攻撃を組み立てるスタイルは共通している。いわゆる「偽9番」だ。
バルセロナではスペインの規定に従って9番を着けていたが、クライフといえばアヤックスやオランダ代表での14番だろう。
「ディ・ステファノの9番、ペレの10番と同じでは面白くないじゃないか」
そう言い放ったとされているが、どうもそれが最初の理由ではないようだ。負傷から復帰した試合で、たまたま余っていた14番のシャツを着たら勝利した。一種の験担ぎだったようだ。だが、控え選手の番号だった14を着続けて自分の背番号にしてしまったのは、いかにもという感じである。現在、14はアヤックスで唯一の永久欠番になっている。
スーパースター、クライフはテクニックもスピードも抜群だったが、最大の長所は頭脳である。「最適なタイミングでなければならない。早すぎても遅すぎてもダメだ」(クライフ)
腕を上げた姿勢の背番号14は、最もポピュラーなクライフのイメージだろう。クラーク博士像のようだが「大志を抱け」と言っているのではなく、味方に指示を飛ばしているポーズである。「交通整理」と揶揄されもしたが、フィールド上の監督だったのだ。正しいポジション、最適なタイミング。頭の中には、常に「こうあるべき」という絵が出来ていたのだろう。
「ワンタッチでプレーする選手は素晴らしい。ツータッチならまあまあ。スリータッチは良くない」
「走りすぎるのは良くない選手」
これらのクライフ語録も、無駄をそぎ落とした理想のプレーを意識しているからこそ出てくる。「走りすぎ」たら、ジャストのプレーにはならない。早すぎず遅すぎず、ジャストなプレーを続けるかぎり運動量は増えようがない。だから「良い選手がもっと走ったら、さらに良い選手になるのではないか」という問いは、クライフにとっては愚問になってしまう。
最も合理的なプレーをしているなら、それ以上運動量を増やす意味がないからだ。監督となった後も、クライフの持論は変わらない。トータルフットボールはドリームチームに受け継がれることになった。(続きは、フットボール批評issue11でご覧ください)
【商品名】フットボール批評issue11
【発行】株式会社カンゼン
B5判/128ページ
⇒サポーターを科学する! 号は取扱注意なサポーターというスタジアムに生息する人々の生態に科学的な視点で迫ります。前号で追及したエアインタビュー記事の問題は、大きな反響があったため、引き続きレポートしています。
>>ジュニサカ公式facebookはこちら
>>ジュニサカ公式Twitterはこちら
>>ジュニサカオンラインショップはこちら
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!2024.11.14
- 「Jヴィレッジチャレンジ 2024 powered by シント=トロイデンVV」が開催!2024.11.14
- U-19日本代表、メキシコ遠征参加メンバー発表。湘南ベルマーレ・石井久継も選出で10番を背負う!2024.11.08
- 「U-16日本代表候補 国内トレーニングキャンプ」参加メンバー発表!2024.11.07
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
人気記事ランキング
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 関東選抜メンバー発表!【関東トレセン交流戦U-15】
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【東日本】
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【西日本】
- ビルドアップ能力を自然に高めるスモールサイドゲーム。スペインで行われるトレーニングデザインとその意図とは
- 「フットサルって足下がうまくなりますよね」。それだけじゃないメリット “重要な決断” が繰り返される価値とは【8月特集】
- すぐに「痛い」と言い出す息子…。
- 【第37回全日本少年サッカー大会】三重県大会 決勝レポート「最後まであきらめない気持ちで試合終了間際に得点した、大山田サッカースポーツ少年団が優勝!」
- 【ダノンネーションズカップ2014 in JAPAN】決勝大会 大会フォトギャラリー