「走るのが苦手で辛かった」 日本代表・川島永嗣がゴールキーパーになるまで

2018年07月05日

コラム
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サッカーよりも野球が好きだった

 ただ、この頃の彼はサッカー以上に熱中しているものがあった。それが野球だ。永嗣少年はボールをキャッチするのに喜びを感じるタイプで、ポジションはもちろんキャッチャー。草野球でゴムボールを使っているのに、わざわざプロテクターをつけてプレーするほどの熱の入れようだった。

「休みの日にみんなで弁当を持って公園で試合をするのが楽しくてたまらなかったですね。父に連れられて西武とかヤクルトの試合も観戦に行きました。僕自身は阪神ファン。亀山(努=現解説者)のヘッドスライディングが大好きでした。それだけ野球に熱が入っていたんで、サッカー少年団の練習はちょっとサボり気味でした(苦笑)。指導者の竹内(幸一)さんからは『練習来ないんだったら試合出さないぞ』とよく怒られていました」と本人は苦笑する。

 ストイックな今の川島からは信じられない行動だが、そこでまず子どもの話をきちんと聞くのが、川島家の子育てだ。父・誠さんはこう語る。

「ある日、『今日練習に行ったのか?』と聞くと、崇史と永嗣が2人揃ってシーンとしている。よくよく理由を聞いてみると、チームには他のGKがいて、どうやら永嗣はGKをやりたかったようなんです。なるほどなと思いましたが、それを頭ごなしには叱らないことが大切だと感じました。

 また同じ頃、学習塾から『来てません』と連絡が来たこともありました。本人に確かめると『仲のいい友達が別の塾に行ってしまったんで、そっちに通いたい』と言う。そうやってしっかり向き合って話を聞いてあげることが、親として大切なのかなと思いますね」

 両親の温かい気配りもあって、徐々に内面が変化し始めた永嗣少年。野球からサッカーへと一気に気持ちが傾いたのは小学5年生のときだった。ある日、友人の兄から言われたふとした言葉が、強く胸に響いたからだ。

「プロサッカー選手になる人はちっちゃい頃からいつも熱心に練習しているんだぞ」

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