“8人制サッカー”のフォーメーションの特徴を“11人制サッカー”に落とし込めていますか? 【10月・11月特集】

2018年11月05日

育成を考える

「4-4-2」「4-3-3」「3-5-2」「4-2-3-1」サッカーには様々なフォーメーションが存在する。日本のジュニア年代に取り入れられている8人制サッカーでは「3-3-1」「2-4-1」といったフォーメーションが主流だ。しかし、8人制サッカーのフォーメーションの特徴を11人制サッカーのフォーメーションに落とし込み選手を育成して指導者はどれだけいるだろうか。フォーメーションのベーシックな特徴を理解するだけでコーチングの質がガラッと変わるかもしれない。11月の特集「トレーニングをデザインする」から倉本和昌氏のインタビュー第3弾をお届けする。

【10月・11月特集】「トレーニングをデザインする

取材・文●木之下潤 写真●佐藤博之、Getty Images


第2回(「何を?」「どのように?」「どこで?」「いつ?」プレーするのかが戦術だ)の続き


フォーメーションの特徴と傾向を理解することでコーチングの質が上がる

倉本「8人制から11人制にどうやったらつながっていくかを考えて指導していないのは、日本のジュニアの問題です」

木之下「11人制サッカーから逆算すると、8人制ではどのポジションが抜けたとか、そういう考え方をしていないように思います」

倉本「3-3-1ならどういう現象が起きそうなのか。では、2-4-1ならどういう現象が起きそうなのか。システムによっての特徴、傾向を知らずに、フォーメーションを考え選手たちを配置しているからサッカーにはなりませんよね。先日の『団子サッカー解消法』というセミナーではそういう内容も話をしました。ベーシックなパターンとしては2つしかありません。

 では、問題を出します。4対4+GKのトレーニングで、相手は横型の2-2の状態です。守備側はプレッシャーに行くべきか、行かないべきか、どちらがいいですか?」

▼4対4+GKトレーニング(横型システム)
「横型システム」

高橋「どちらかがボールを持っているわけですよね?」

倉本「そう、片方はボールを持っています。では、攻撃はどうしたらゴールが生まれそうですか?守備は単純に前からプレッシャーに行った方がいいのか、行かない方がいいのか。あくまでも傾向の話です。守備から聞きましょう」

高橋「行った方がいい」

倉本「どうして?私だったら徹底して前線にボールを放り込みます。何をやられたくないですか?」

高橋「ゴール前にボールを入れられることです」

倉本「そうですよね? なぜならゴール前で2対2の状況になるから。だったら、どこから守備をしますか?」

高橋「あっ、そうか」

倉本「だったら、行かない方がいいわけです。最初、守備としてセットできていたらプレッシャーに行ってもOK!でも、攻撃側は最初から守備が付いているんだったら前線に飛ばした方がいい。なぜなら前線にボールが入れば、そこで2対2の状況が作れている状態だからです。

 逆に攻撃は相手が閉めているから開けたりズレたりしないとボールを動かせません。つまり、横型をキープした状態だと攻撃しにくいんです。では、横型の11人制は何ですか?…。では、4対4+GKでお互いにダイヤモンドです。これが縦型ですが、前からプレッシャーに行った方がいいのか、行かない方がいいのか?」

▼4対4+GKトレーニング(縦型システム)
「縦型システム」

高橋「行った方がいい」

中澤「行った方がいい」

倉本「理由は?」

中澤「(ダイヤモンド型だと)最終ラインのDFが一人だから…?」

倉本「ゲームが始まったら、どうやってスタートするかを考えて欲しいわけです。ボールを持っていない方はダイヤモンド型から3-1という並びになるはずです。ボールを持っているチームのサイドの選手とは距離があるので、ボールサイドの1人がプレッシャーをかけなかったら相手に自由にやられるわけです。

 最初は少しフラットな状態を作り、出た位置に対してプレッシャーをかける状態を作り続けていれば、その時々で対応が効きます。でも、そこでプレッシャーをかけなければ、相手に好き放題やられてしまいます。遅れて行った場合も背後のズレを突かれる。

 だから、縦型はプレスに行かなければ成立しないシステムです。攻撃は自然に相手のズレを作るようなシステムになっているからボールはつなぎやすいし、横型のようにポジションを入れ替わったりしなくてもいいようになっています。つまり、立っているポジションで状況に応じて相手とのズレを少しだけ埋めたら優位に立てるようなシステムです。

 では、横型や縦型を11人制に置き換えるとフォーメーションは何になりますか?」

倉本「11人制はわかりやすくないですか? 横型は?」

木之下「4-4-2です」

倉本「縦型は?」

高橋「4-2-3-1です」

倉本「あー、4-3-3が近いと思います。そもそもシステムによって縦型か、横型かの配置に自然になっているから大まかな特徴は決まっているわけです。だから、4-3-3のチームが『うちはカウンター型です』というと、私は『どうやってやるんだろう?』と思います。

 逆に4-4-2のチームが『ポゼッションをやります』と言っていると、『どうやって?』と考えてしまうんです。もちろん昔のアーセナルやビジャレアルは4-4-2でそういうサッカーをしていましたが、絶対にポジションが入れ替わるなどポジション優位を作るためにズレを生じさせていました。

 基本となる4-4-2のままではボールは自由に動かせないのです。なぜなら選手を結ぶパスラインの三角形の数が少ないから。4-3-3は決められたポジションに立っているだけで三角形が数多くできている状態になっているからボールが自然に動かしやすい。

 これらはあくまでも傾向としての話ですが、『そういうものを理解して考えていますか?』ということをセミナーではお伝えしています。ということで、8人制での横型は3-3-1で、縦型は2-4-1になります」

高橋「はっきり例えると、それが一番近いですね」

倉本「もちろん、いろいろと変化型は存在します。縦型のチームと横型のチームで試合をやったらどういう展開になりますか? どちらがボールを動かしますか?」

高橋「縦型です」

倉本「横型のチームがゴールを奪うにどういう展開ですか?」

高橋「ショートカウンターです」

倉本「カウンターの形ですよね。基本的に押し込まれる展開になって行きます。逆に言うと、素早いスライドでボールが追えている限りは大きなピンチにはなりにくいです。ダイヤモンドの縦型の方はどうやって崩すかがテーマになります。そちらはボールを奪われた瞬間にプレスに行かなければ一気にピンチになりますから。そういうことが、サッカーのシステムの大まかな2つの構造なんです。そういう傾向を知っているから選手の特徴を見てフォーメーションを考えられるはずだと思います。

 例えば、試合を見ていても、4-4-2のダブルボランチのシステムをとっているのに『ボールポゼション率を上げたい』と発言している監督がいますが、『どうやって?』と感じます。よく試合を観察していると、選手が感覚で縦関係を作って監督のいうポゼッションを体現していますが、監督はその点には明確に気づいてはいません。

 少し掘り下げると、ダブルボランチは片方が前目で、片方が後ろ目、2トップも純粋なストライカータイプを置かないからどちらかが自然にリンクマンの役割を務めてボールポゼッション率を上げています。監督がそれを狙ってやっているわけではなく、意図的ではありません。だから、多くのJリーグの監督はチームがうまくいかない時に対策が練れないのです」

木之下「確かに、感覚でしか理解していないですね」

倉本「少なくとも4-4-2や4-3-3の基本的な概念を理解せずにサッカーを教えると、ポジショニングの概念なんてわかりません。だから、指示が『行け』『頑張れ』『抜かれるな』になってしまいます。『行ってはダメだから』、『整っていないから』と言える指導者はほとんど存在しないわけです。

 日本サッカーで数多く見られるのは2トップだけがプレスに行き、後ろの2ラインとのスペースがスカスカになり、パスでポンポンとやられてしまう場面です。そうしたら監督が『もっと強くいけ』という。違います!『行っちゃダメ』なのです。でも、試合終了後のコメントを聞くと、その理由が『運動量が足らなかったから』になっています。ただ、これはあくまで私の考えです」

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