サッカー後進国にも根付くリーグ戦文化とチーム間の移籍。カナダで再チャレンジしたサッカー少年の奮闘記
2017年06月06日
コラム日本代表の中心選手である本田圭佑選手や長友佑都選手がサッカー選手として現在の地位にのぼりつめるまでに多くの挫折を経験したというのは有名な話です。先日、はじめて日本代表に招集された加藤恒平選手も2013年に東欧に移籍し、そこから地道にステップアップを続けた結果、日の丸を胸に戦うチャンスを得ました。今回は、かつてプロ・スノーボーダーとして活躍していた飯田房貴さんに、サッカーが大好きでプロ選手を目指している息子さんのお話を紹介していただきました。一度日本で挫折を経験し、FIFAランキング109位(2017年6月5日時点)のカナダから再起を図るサッカー少年の奮闘から見えてくるカナダのサッカー事情と日本サッカーとの違いを考えます。
(文・写真提供●飯田房貴)
【写真左が飯田房貴さん。写真右が息子の大河くん】
日本に行って驚いたセレクションの少なさ
プロ・スノーボーダーだった僕と、現地で結婚したカナダ人女性の間に生まれた息子は、雪の上でも毎日ボールを蹴って遊ぶほどサッカーが大好きで、夢は「サッカー選手になる!」ことでした。
「いつでもサッカーがしたい」
「もっと高いレベルでサッカーがしたい」
そんな思いから息子は小6の時に、僕の実家である東京へ行くことを決心。別のスポーツの世界とは言え、僕も同じ道を歩んだ者。好きな競技でプロを目指す気持ちはわかるし、応援したいという思いでいっしょに日本へ行きました。
しかし、日本のサッカーは甘くなかった。レベルの高いチームに挑みセレクションに参加するものの、ことごとく落選。数百人から数千人もの子どもが集まるところで、到底目立ったプレーができるレベルではありませんでした。
なんとか東京・下町のクラブチームに拾ってもらい、お世話になったけど…。故郷カナダが恋しくなり、2年目に入ったところでリタイア。僕たちは、再びカナダに戻ることになりました。
日本に行って驚いたのは、『セレクションチャンス』の少なさとチームの移籍することの難しさです。
例えば、小学生年代から中学生年代移行の時、現小学6年生を対象としたセレクションがありますが、希望のチームに入れなかった場合、基本的に翌年はチャンスがなくなります。つまり中1から中2の時に再度トライするためのセレクションというのは、日本にはあまり多くありません。
日本は小中高で6年→3年→3年で区切られているため、クラブチームに入ったケースや、中学のサッカー部に入ったケースでも、通常は3年間同じチームでやる方向が決まっていて、他のチームを移る文化があまりないと聞きます。
これはお国柄かもしれませんが、カナダの人たちはわりと人間関係にドライで、子どもたちは希望のチームに毎年チャレンジできる環境があります。
あるチームでプレーしていた子どもが、コーチのやり方やチームの負けている状況に我慢ならず、または自分のプレー機会の少なさから、翌年には違うチームに移るケースもあるのです。
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