日本人選手の「認知-判断-実行」を高めるにはどうしたらいいか?【6・7月特集】

2018年08月01日

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子どもたちの能力向上には練習のプランニングが不可欠

――日本の指導者も、課題については自分たちなりに掘り下げていく中で認識できると思っています。ただ、それをどうトレーニングしたらいいのかと考えた時に試合のシチュエーションに戻すことが不得手だと感じています。

坪井氏「どうしてでしょうね? コーチングがこの仕組みの中に入っちゃうんですか?」

――一つはテーマをもって指導しているはずなのに、いつの間にか「あれもこれも言い過ぎてしまっている」というのが原因として挙げられます。

坪井氏「この要素だけを取り上げても、でもピッチ上ではこんなに多い要素が溢れていて、だから試合形式になると他の要素も気になってくる、と。そこは『気にするな』としか言えないですね。だから、事前にどこまで練習をプランニングするかが大事です。

 でも、お父さんコーチって練習メニューを作る暇がないと思うんです。

 ただ練習メニューを作るのに何がプラスに働くかといえば『今日は何の練習するのか』というのを自分なりにアウトプットすることによって頭の中に刷り込まれるんです。『今日はこれをやるから、これはやらなくていい』と明確化できるんです。その状態で練習を始めるのは大事だと思うんです。やはり練習に対して10分ぐらい向き合う時間は確保してもらいたい。ピッチに立った時に『今日は何をしようかな』となってしまうのは良くありません。プランニングは大切な準備ですよね。

 逆に質問ですが、練習メニューはどうやって作られているんですか?」

――子どもたちの実力を考慮しつつ、自分なりの指導経験などを参考にしながら頭の中で作っているのが多いと思います。毎回、ノートなどに書いて用意しているのはそう多くはないのでしょうか。

坪井氏「ノートなどに頭の中に描いた練習メニューをアウトプットはしないんですね。どうしてでしょうか」

――それはボランティアに近い形でコーチをしている指導者が多く、そこまでの時間が取れないのではないでしょうか。

坪井氏「練習のプランニングは、トレーニングの質を上げようとしたら大事なことです。子どもたちが楽しむことが一番なので、サッカー的なトレーニングはそこまで求めなくてもいいと思っているからでしょうか。それはそうでも、やはり練習メニューを作るのが当たり前というようにならないと。子どもたちの能力向上のためには、きちんとしたプランニングが必要だと、サッカーの指導の在り方が変わっていかなければならないと思います」

――私が関わっているクラブのコーチには全員に「指導者ノート」の雛形作って渡しています。でも、活用しているコーチは4人のうち1人だけです。それが現実です。

坪井氏「うちのクラブが運営するスクールでは、スクールを統括するコーディネーターがいて、彼が練習メニューを用意して毎回配って渡しています。確かに1日のトレーニングメニューを構築するのをゼロから行うのは難しいことです。初心者コーチやお父さんコーチは作り方が分からないでしょうから。、アルバイトのマニュアルのように資料で用意することも必要かもしれません。

 毎回のトレーニングメニューを作ることはすごく大事だと思います。ビジュアルとして見ることはイメージがつくし、文字で書いてあったら『今日のテーマが何か』が分かりますし。4対2なのか、5対2なのかってアウトプットして残すことは大切です。それこそ今はインターネット上にたくさん情報が溢れているから、参考までに引っ張ってきてコピペして少しアレンジを加えるだけでもいいと思うんです」

――同感です。ドイツサッカー連盟には、テーマなどにチェックを入れるだけで1日のトレーニングメニュー一式がポンと出てくるトレーニング専用のサイトがあります。

坪井氏「ゼロから作るのは難しいですし、簡単ではありません。なかなか認知の話が深まっていきませんね(苦笑)。日本の育成は、まだ他の部分に改善点が多いんでしょうね。正直、認知の情報はたくさんあるんです。日本でもサッカーサービスなどが発信しています。彼らがやっていることは整理されている情報ではあります。でも、日本人指導者はああいう情報を試合にフィードバックする方法を知りたいわけですよね? だから、今回の取材テーマが認知だったと。少し日本の現状も見えてきました」

【後編】「個人戦術」と「グループ戦術」を学ぶ意義。認知力向上のために指導者ができること

【特集】サッカーにおける「視る」とは何か


<プロフィール>
坪井健太郎(つぼい けんたろう) CEエウロパユース第二監督

1982年、静岡県生まれ。静岡学園卒業後、指導者の道へ進む。安芸FCや清水エスパルスの普及部で指導経験を積み、2008年にスペインへ渡る。バルセロナのCEエウロパやUEコルネジャで育成年代のカテゴリーでコーチを務め、2012年には『PreSoccerTeam』を創設し、マネージャーとしてグローバルなサッカー指導者の育成を目的にバルセロナへのサッカー指導者留学プログラムを展開中。また、森亮太氏と共著で『誰にでもわかる サッカー説明書 ~スペインサッカーを日本語に具現化~』を電子書籍出版。


新しい攻撃

【商品名】サッカー新しい攻撃の教科書
【価格】1,728円(税込)
【著者】坪井健太郎
【構成】小澤一郎

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