改めて考えたい「8人制サッカー」の意味。少人数制で“判断力”が養われる理由【8月特集】
2018年08月08日
育成/環境C級の講習は8人制のメリットを指導に落とし込む術を学ぶ場であるべき
8人制サッカーに切り替わって7年ほどが経過したが、「JFA TECHNICAL NEWS 2017年12月号」に書かれてあるデータの一部に目を向けると、当初の目的は達成されているとは言い難い。個人的に、その原因は大きく3つあると考えている。
一つ目は、JFAが具体的な指導への落とし込み方を明確にメソッド化せず、各指導者に任せ過ぎていること。
二つ目は、メディアが具体的な指導への落とし込み方をJFAにぶつけず、あるいは世界で行われている指導への落とし込みを取材せずに情報発信できていないこと。これは明らかにメディアに携わる者の勉強不足ということに尽きる。サッカーがどんどん進化している以上、私たちはITを活用して様々な情報を収集し自分のサッカー観をアップデートし続け、様々な側面から日本サッカーがいい方向に進めるように言葉や写真、映像の力を使って尽力しなければならないが、そこができていない。
そして、誤解を恐れずに言うが、三つ目は育成指導者が自分のサッカー観やスポーツ経験に頼りすぎたトレーニング内容で選手を指導し、そこに何の疑問も持っていないことだ。もちろん、すべての育成指導者を指しているわけではないし、向上心を持って学び続けている指導者も一部いる。しかし、例えば毎回のトレーニングを事前に紙に書いて用意しているだろうか。毎回同じトレーニングメニューを繰り返していないだろうか。サッカーの価値観を広げるためにクラブ内の、またクラブ外の指導者とコミュニケーションをとっているだろうか。
今月の特集テーマは「少人数から段階的にサッカーを学ぶ」であるため、これ以上、特に後者2つの問題点について触れることはしないが、責任はサッカーに関わるすべての者にあるし、問題の解決はすべての者が当事者意識を持って自分たちの関わっている分野でできることをやるしかない。だから、私自身への自戒の念を込めて、あえて書き記させていただいた。
話を特集テーマに戻すと、8人制のメリットとして記されている「選手へアプローチできること」はいい内容だ。
しかし実際には、それらを実現するためにどう指導すべきかが重要だ。では、何が問題なのかと掘り下げてみると、一つの問題点が浮かび上がってくる。それは指導者養成におけるライセンス取得講習会の中身だ。これは予測だが、おそらくジュニア指導者が取得しているライセンスはD級やC級が多くを占めるだろう。
先日、JFAユース育成ダイレクターの池内豊氏を取材した際、「今、各都道府県協会の方でライセンスレベルごとの資格保有者数を調査している」と耳にしたので、近いうちに結果が発表されることになるだろう。ただお父さんコーチに頼っているジュニアの現場では、取得に時間がかかるB級以上のライセンスを取得するのは現実的に難しく、それはメインとなっている指導者も変わらない。
だとすれば、D級が初心者向けだから、少なくともC級ライセンスの講習内容については8人制のメリットとして記されている「選手へアプローチできること」を実践できる、もしくはその理由が理解できる内容でなければならない。池内氏はワールドカップごとにライセンスの内容は変えていると言っていたが、ジュニアはサッカーの全体像を理解した上で選手へアプローチできる内容であることが道理だ。それを基本としてB級、A級、S級へと段階を追うようにライセンス内容が構成され、作り上げていなければリンクしていかない。
この問題については、また別の機会に取材の場を設けてJFAにぶつけたい。
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