「言われてやる、用意されたことをやる、やらされるのは全部ダメ」サッカーと勉強の共通点【サッカー外から学ぶ】
2019年07月11日
育成/環境

【花まる学習会の代表を務める高濱正伸氏】
頭の良さは「見える力」「詰める力」で決まる
教育の専門家からサッカーの良さを語られるとなんだか誇らしい気持ちになるが、たしかに、プレー中に夢中で補助線を描こうとする「やる気」をうまく成長につなげられればサッカーは絶対に上達するし、そこで得た発想力や思考力は、生き抜く力にもつながるはずだ。
「頭の良さって、大きく分けて二つの要素があって、一つは『見える力』。ここまでお話しした補助線が浮かぶかどうかもそうなんですけど、見る、見えるということがまず大切。もう一つの力は『詰める力』と言って、要するにやり切るということ。根性論みたいに聞こえるかもしれませんが、アメリカの教育界で話題の『GRIT』なんかはまさにこのことを指しています」
情熱や粘り強さからやり抜く力が生まれるという『GRIT: The Power of Passion and Perseverance』という書籍が世界的なベストセラーになり、21世紀を生き抜くための必須能力とまで言われるようになったが、高濱さんは子どもたちと接する中で体感した「詰める力=やり抜く力」の大切さをもう何十年も前から言語化、理論化してきた。
「毎日365日、数時間勉強できれば東大に行けるでしょう。サッカーだってやり方さえ間違えなければ、毎日やることで目標に手が届く。でも人間は、もっとゲームがしたいとか、友達と遊びたいとか、いろんな誘惑に負けちゃってやり通すことができないんですよ。やればできるのに、サボっちゃうんです。東大に難なく入るクラスの受験生は、毎日ハードな勉強をするのが苦じゃないんです。天才とか、頭がいいとかじゃなくて、ハードさに耐えてやり抜くことができる。これを伸ばすためには何かを目指して必死にやるスポーツはすごくいい」
能動的な行動や、努力を努力と感じない夢中状態の効果はさまざまなところで語られているが、サッカーを楽しいと思いながら没頭できる。そのことこそが、「見える力」と「詰める力」、つまりは「頭の良さ」を引き出すことにつながる。
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