技術にばかりフォーカスしすぎていないか? 「個の育成」とは何なのか/ジュニサカ会議2【9月特集】

2018年09月10日

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ボールをつなぐ時に出し手と受け手の両方をアドバイスしてほしい

中澤「やはり、しっかり子どもたちの様子を見てコーチングとティーチングを行っていかなければならないと思います」

高橋「難しいところではあると思うんです。手法というか、やり方というか」

中澤「もしかしたらその先の具体的な部分を指導者が教えることができないのかもしれません。知識不足がその1つの原因だと思います。外から声をかけてしまっているのは、実際に子どもたちにどう教えていいかがわからないから曖昧な言葉で片付けている部分もあるのかもしれません」

木之下「長年、ジュニサカwebの編集担当として情報発信をしていて、指導者がどこまでのレベルまで理解していると感じていますか?」

高橋「個人にもよるんでしょうけど、どうしても子どもに求めていることが技術寄りになっている指導者が多い気がしています。時代の流れとして『戦術も大事だよね』というふうには発言しながらも、結果的にジュニサカwebの情報もなんだかんだと技術の部分の話が集中した時はアクセス数が良かったりします。現場の声が入った原稿を読んでいても、日本のジュニアのトップレベルを率いている指導者であっても技術寄りの話は多いです。例えば、パスのスピードやパスの精度といった言葉が文字として並ぶことは多いです。特に出し手に対する注文が多い!」

木之下「そこは取材していても、なかなか出し手と受け手の両方に対して注文をつけられるような指導者は少ないです。両方同時に声をかけているシーンも少ないですし」

高橋「どうしても出し手のミスや精度にフォーカスしているのかな、と」

木之下「実は、バーモントカップの決勝後、JFAのフットサルのテクニカル部に在籍されている方と個人的に話をしました。その方曰く『決勝の印象としては、フットサルをサッカーに生かせていないのは感じる』ということでした。

 具体的に一つ挙げると、ビルドアップ時にファーストディフェンダーのラインを越えるようなプレーを出し手と受け手の両方が理解していないからボールが前進しない。試合を見ていても、本来なら2対1で数的優位な状況を作っているはずなのにボールは前に進んで行きません。パスの精度という観点でもそのラインを越えるボールを蹴らないと守備のファーストラインを突破できないのに、それよりも後ろにパスを蹴ってしまっていたり、受け手側も1タッチ目のコントロールでそのラインを越えたりしていないから結局後方で何度もパス交換を繰り返し、挙げ句の果てにはプレッシャーに負けてロングボールを放ってしまったりしている状態になっています。

 つまり、ファーストラインを越えてボールを受け手に渡すにはどんなパスをしなければならないかがきちんと整理されていないんです。

 それは日頃から指導者が伝えられていない証拠でもあります。『そこはフットサルのプレーを曖昧に理解されているから自分たちの課題でもある』とその方は言っていました。もちろん会話の流れのものなので、これだけを都合よく受け取ってほしくはありませんが、そこはパススピードとか右か左かとかではなく、どう最初のディフェンダーのラインを越えるのか、グループ間での戦いの中で目の前にいるディフェンダーのラインを越えていくのかがチームの前進につながるということとイコールであることだと理解する必要がある。そういうことを簡単な言葉で、子どもたちにとっては戦術という難しいことではなくても、指導者の中では戦術的なものとしてしっかりと伝えていくスキルが不可欠なのだと思います。それがあるから効果的に技術を使えるんだと、私は認識しています」

中澤「ラインを越えるという部分で、Jクラブの育成組織は最近ゴールキックからパスをつなぎます。でも、ドリブルでボールを運ばないから相手もプレッシャーに来ないし、なかなかボールが効果的に前に進みません。ワーチャレで見たバルサは相手にとってイヤらしさを感じるようにボールを運ぶし、ドリブルもパスも状況によって使い分けています。日本のチームを見ていると「ビルドアップ=ボールを前に運ぶ」になっていますが、本来の意味は相手にとっての最初のディフェンダーのラインを乗り越えていくことだと思うんです」

木之下「相手のラインを越えるということとボールの前進がつながっていないんだと思うんです」

高橋「それはそうですね。ビルドアップと言って、自分たちのビルドアップの形を追求しすぎている部分があります。そこには相手が存在していません。本来のビルドアップという目的がどこかで抜け落ちてしまう指導者が多いように感じます。それはJクラブでもそうです。

 何のためにビルドアップをするのか。何のためにドリブルを使うのか。何のためにパスをつないでボールを前に運ぶのかという本来の目的が置いてけぼりになっています。ビルドアップそのものが目的になっている。ゴールを奪うためにビルドアップをしていくというのが目的であって、そのためにパスやドリブルを用いながら効率化を図ってやっているはずなのに、いつのまにかビルドアップそのものが目的になってしまっています。大会で試合を見ていてそういう傾向は多いのかなと思います」

改めて考えたい「4種年代」の問題点

 

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